谷田部キリスト教会
メッセージ



「あなたはきょうパラダイスにいます」 

                                ルカの福音書 23章32〜43節


 3月16日からの一週間は受難週です。イエス・キリストが十字架のみ苦しみを受けてくださっ たことを記念する時です。そして3月23日はイースター、イエスが死からよみがえられた日です 。受難週を待ち望みながら、イエス・キリストの十字架の恵みを心に留めたいと思います。十字 架の上で主イエスが語られた7つの言葉の中から、その第2の言葉に注目したいと思います。そ のお言葉はこうです。

「まことに、あなたに告げます。あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます。」

 このイエスのみことばが記されているルカの福音書23章32節からには、主イエスが十字架には りつけにされた時にイエスを中心にして左右に二人の犯罪人が十字架につけられたと書かれてい ます。彼らがどのような罪を犯したのかは不明です。はっきりしていることは、十字架刑によっ て処刑されるほどのことをしたということでしょうか。二人が同時に処刑されると言うことは、 同じ罪を犯したことを示しているようにも思います。 ひとりの犯罪者の言葉からもそのことが伺 えます。 「われわれは、自分のしたことの報いを受けているのだから」と言っています。ゴルゴ ダの丘に立てられた3本の十字架、その中央に、罪人の中でも最も罪深い者であるかのようにし てイエス・キリストはりつけられていたのです。他の福音書からわかることは、十字架につけら れた二人の犯罪人が、イエスをののしる者たちと一緒になってイエスに悪口を浴びせかけたとい うことです。しかし、突然一方の犯罪人はもう一人の犯罪人をたしなめた後に、 イエスに向かっ てこう言います。「イエスさま。 あなたの御国の位にお着きになるときには、私を思い出してく ださい」と。この言葉に対して答えられたのが、イエスの十字架上の第2の言葉です。「まこと に、あなたに告げます。あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます」です。ここに救 いのメッセージが語られます。

「あなたは」

 まずイエスは「あなたは」と犯罪人に向かって言われます。外でもない「あなた」です。「ま ことに、あなたに告げます。あなたはきょう…」と言われたのです。それは今から心を入れ替え て良い行いをしようと考えても、もう決して実行することができないその人にです。何の善行も 行えない犯罪人に向かって語られています。ただあわれみにすがるほかない、その「あなた」に イエスは呼びかけられるのです。
 そしてそれはこのみことばを読む私たち一人一人に向かっても「あなたは」と語られている言 葉です。文字通り「あなた」に、私たち一人一人に語られているのです。私たちもまた、自分で は善であると知りつつ行うことができず、悪と知りつつやめられない者です。ただあわれみにす がるほかない「罪人のかしら」です。

「きょう」

 更にイエスは「きょう」と言われます。「あなたはきょう…」と言われるのです。『またいつ か』とは言われません。『そのうちに』とも言われません。時が限定されている訳でもありませ ん。『まだ早すぎる』と言うことも、『もう遅すぎる』と言うこともありません。「きょう」で す。今です。このキリストの招きに答えようとするその時です。
 使徒パウロはコリントの教会の人々に言いました。「神は言われます。『わたしは、恵みの時 にあなたに答え、救いの日にあなたを助けた。』 確かに、今は恵みの時、今は救いの日です。 」(Tコリント人への手紙第U、6章2節)。ヘブル人への手紙の記者も神の御声を繰り返して 記し、「きょう、もし御声を聞くなら…心をかたくなにしてはならない。」と語っています(ヘ ブル人への手紙3章7節、15節、4章7節)。

「わたしとともに」

 イエス・キリストは十字架の上で、「わたしとともに」と言われます。「見よ。わたしは、世 の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます。」と約束された主が、「わたしとともに」 と言われます。聖書は、いつでもどこででも、イエスが私たちとともにいてくださると教えてい ます。救いをいただいた者たちの歩みは、「たとい、死の陰の谷を歩くことがあっても、私はわ ざわいを恐れません。あなたが私とともにおられますから」(詩篇23篇4節)と神に信頼して歩 む歩みです。死を目前にし、しかも自らの犯した罪のために処刑されて死のうとしているこの時 に、イエスが「わたしとともにいます」と言ってくださったのです。 この犯罪人の心に深く届い たことでしょう。 「イエスさま。あなたの御国の位にお着きになるときには、私を思い出してく ださい」と言った犯罪人の、この「思い出してください」という言葉は、記憶していたことを思 い出すと言うよりも『参加する』というような意味の言葉だと言われます。「御国の位にお着き になるときには、私を(参加させて)ください」と言ったのでしょうか。 そうであるなら「わた しとともに… 」と言われたこのイエスの言葉は、彼の心に力強く響いたことでしょう。

「パラダイスにいます」

 しかもイエス・キリストは「あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます」と言われま した。ともにいると言われた所は「パラダイス」です。パラダイスという言葉は囲いのある庭園を 意味します。そして神の住まいである天の国を表しています。天の御国で、キリストともにいるの です。今まさに滅びようとしていた犯罪人に、天の御国に住まう特権が与えられたのです。
 死を目前にして、その先に行くべき所がはっきりとしているのです。私にはきっといけないであ ろうと思っていた所に行くのです。

 十字架の上からイエスは私たちに「まことに、あなたに告げます。あなたはきょう、わたしとと もにパラダイスにいます」と言われます。「まことに」とあるこの言葉は、変わることのない約束 を告げる言葉です。この約束を手にいれるために、私たちに何が必要でしょうか。良いことを行う ことでしょうか。まじめに生きることでしょうか。そうあることは大切です。しかしそれが約束を 手にする条件ではありません。「われわれは、自分のしたことの報いを受けているのだ」と言った 犯罪人のように、自分の罪を素直に認めることです。そして「この方は、悪いことは何もしなかっ たのだ」と、イエスには罪がないことを認めることです。「イエスさま。あなたの御国の位にお着 きになるときには、私を思い出してください」と、切にあわれみを求めることです。

 皆さんも、この主の約束を信仰によって受け入れて、御国を目指して歩まれませんか。

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